ヨーロッパの美しき日々

GDP世界一のお金持ちの国ルクセンブルクがどんな国なのか,ドイツやフランスなどの周辺国の旅行記事とともにレポートします。

【学校部活動】オリンピックでもし活躍できたら,選手はなんて答えるのだろう

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教育現場の働き方改革は待ったなし

 働き方改革の機運が高まる昨今,学校現場の業務改善は待ったなしの状況です。
 「昔はこうだった」
 繰り返される前年踏襲から,変革しなければならない時が来ています。

すべてのブラックの根源は学校現場

 労働基準法は1947年に制定されました。
 労働時間の上限について,原則は労働基準法32条で1週間40時間、1日8時間と明記されています。
 教員が1日6時間の授業を担当する場合,それだけで8時間のうち6時間を費やします。
 担任であれば給食指導があります。休憩ではありません。これにも1時間。
 清掃指導,朝の会,帰りの会で合計1時間。
 通常必要と考えられる業務だけで8時間を要するのです。
 言うまでもなく,授業をするには事前準備が必要です。
 授業を行った後には評価をするために,例えばワークシートの添削も必要になります。
 教師はデフォルトの業務だけで,1日8時間では到底終了できない業務を抱えているのです。

子どもも「ブラックが当たり前」を強いられている

 学校に通う生徒を考えます。
 始業が8時だとすれば,朝練習は7時に始まります。6時間の授業を受けたのち,2時間の部活動をして,最終下校時刻はおおよそ19時です。
 デフォルトで12時間労働(活動?)を強いられています。
 さらに,昼休みは,例えば学校行事に向けた打ち合わせが行われ,帰宅後も学校から強制力を伴った宿題が課せられています。
 休憩時間も認められえていません。

 まさに,ブラック企業で働くことのできる人材,上からの指示に疑いなく従うような教育が日夜行われているわけです。

茨城県教育委員会は英断,寄せられる反対意見のクオリティはいかがなものか

 そのような現状に対して,まずは県としてできる取り組みから「朝練習禁止」を通達した茨城県教育委員会の判断は素晴らしいと思います。

 一方,この記事の中で寄せられた疑問を呈する声には,現状の課題を把握しているのか,首をかしげたくなるものばかりです。

 ある県議は「やる気のある生徒にどう応えていくのか」と県教委側に詰め寄った。
中略
 塚本教諭は「やる気のある生徒は活動を禁止されても別の方法を模索し、行動する。教諭の目が行き届かない校外で活動してけがなどにつながるリスクもある」と危惧する。
中略
 戸沢教諭は「『実力のある生徒は私立の部活動しか選択肢がない』という時代が来るかもしれない」と案じる。「絶対数の多い公立高の実力が日本スポーツ界の実力に直結する部分はある。東京五輪を2年後に控える中、高校スポーツの実力の底上げは必須だ」と力を込める。届かない校外で活動してけがなどにつながるリスクもある」

                          以上,本文より引用

 議員の主張だけ,匿名なのがなぜなのか。本来は真っ先に名前を公表するべきだと思います。

 やる気のある生徒こそ与えられた環境の中で工夫するだろう
 自分の技能がどうすれば向上するのか。調査し,実践する過程は今求められる力ではないでしょうか?そのように行動する生徒の姿は,危険視するのではなくもっと称賛されるべきであす。指導者の指示を自分の頭で考えることもなしに実行するのは,きわめて前時代的であす。また,それだけ本気で生徒が活動するのであれば,地域,家庭がもっと生徒をサポートする体制が必要です。なんでも抱え込もうとする学校に姿勢が,学校の業務を肥大させてきました。何でも引き受けてしまった学校の責任でもあるわけです。けがなどについては「ここからは家庭の責任」などと線引きしなくてはならなりません。
 日本のスポーツ界の実力に学校が寄与しようという発想の異常さ
 2年後に迫ったオリンピック。そこで,仮に公立部活動出身の選手が活躍したとしましょう。
 その秘訣を海外のメディアに聞かれたら,選手や関係者はなんて答えるのでしょうか?
「違法に教師を働かせたことによる成果です」
「土日も休まず,朝から晩まで,指導者の指示に忠実に従ってきました」

などと答えるのでしょうか?
 今や日本社会の異常な労働環境は世界に知れ渡っています。
 それが社会人だけでなく,子どもにまで強いられてるという事実を世界に発信するのでしょうか?
 日本ではとんでもない人権侵害が行われていると世界から非難されてもおかしくありません。

価値観を認めるということ

 朝練を辞めるのが絶対正しい。そうではないと思います。
 大切なのは「他者の価値観を認め,自分の価値観を強制しないということではないでしょうか」

 部活動指導に力を入れたい教員は,おおかれすくなかれ部活動によってよい体験をしたのだと思います。だから,自分の関わる生徒にも,そういう思いをしてほしい。その価値観自体は否定されるものではありません。
 「部活は絶対よいものだから,全員でやらないと」と,価値観を押し付けるからうまくいかないのです。

 放課後,休日の使い方について,自分の頭で考え,実行する方法を考える。
 時間を
 「理解できなかった授業の内容を復習する時間に充てる」
 「家族で旅行に出かける」
 「休養に充てる」
 「映画鑑賞などの芸術に充てる」
 「自分の取り組んでいる競技の練習の時間に充てる」

 いろいろな価値観があっていいはずです。
 価値観を強制して正解を作ろうとする文化を,変えていきませんか?